特典 14 / 動画連動
キオクシアとフジクラ 解説資料
先に買うのはどっちか、いくらから買うか
動画を見てくださった方へ。
動画で話した数字と、「俺たちはどっちを先に、いくらから買うか」の出し方を1枚にまとめました。
数字は2026年9月15日の終値(キオクシア51,750円/フジクラ4,744円)を基準にしています。
1. まず、上がったのはメモリだけではありません
「AI関連株が上がった」と言われますが、上がったのは1社ではありません。
今年の安値から高値までを、実際の株価で並べました。
表は横にスクロールできます
| 会社(何を作っているか) | 今年の安値 | 今年の高値 | 9月15日終値 | 安値→高値 | 高値からの下落 |
|---|---|---|---|---|---|
| キオクシア(メモリ) | 10,945円(1/6) | 112,700円(6/22) | 51,750円 | 10.3倍 | -54.1% |
| 古河電工(電線・光) | 964.8円(1/9) | 6,241円(5/27) | 3,719円 | 6.5倍 | -40.4% |
| フジクラ(電線・光) | 2,741.67円(1/21) | 7,933円(5/14) | 4,744円 | 2.9倍 | -40.2% |
| JX金属(半導体材料) | 1,984円(1/5) | 5,828円(5/11) | 3,654円 | 2.9倍 | -37.3% |
| 東京エレクトロン(製造装置) | 35,720円(1/5) | 81,260円(7/1) | 50,650円 | 2.3倍 | -37.7% |
| アドバンテスト(検査装置) | 19,720円(3/31) | 38,730円(8/14) | 30,160円 | 2.0倍 | -22.1% |
6社とも今年の安値から2倍以上になり、今は全社が高値から下げています。
ただし下落率は-22.1%から-54.1%まで幅があります。「全部が半分になった」わけではありません。
高値をつけた日も会社ごとにバラバラです(JX金属5/11・フジクラ5/14・古河電工5/27・キオクシア6/22・東京エレクトロン7/1・アドバンテスト8/14)。
9月14日に何があったか
9月12日(土)、AI開発会社Anthropicのダリオ・アモデイCEOが「AIモデルの能力向上のペースを落とすべきだ」というエッセイを公開しました。OpenAIのアルトマン氏、xAIのマスク氏も同調したと報じられています。
明けた9月14日(月)の市場です。
| 9月14日の動き | |
|---|---|
| フィラデルフィア半導体株指数(SOX) | -5.8〜5.9% |
| 日経平均 | 63,492.99円(-518.35円/-0.81%) |
| キオクシア | 54,030円 → 50,590円(-6.37%) |
| フジクラ | 4,982円 → 4,834円(-2.97%) |
| JT | +1.05%(6,763円) |
| 東京海上HD | +2.92%(8,203円) |
相場全体が下がったのではありません。AI関連だけが選ばれて売られました。
ただし「この一言で半値になった」は事実ではありません
キオクシアの半値ラインは、年初来高値112,700円の半分で56,350円です。
- 終値が初めてこの線を割ったのは2026年7月17日(52,110円)です
- 9月に入って一度は戻しました(9/7 59,530円・9/8 57,410円・9/9 57,000円・9/10 58,090円は半値より上)
- 9月11日(54,030円)に再び割り込み、9月14日にさらに下げました
高値比で見ると、9月14日が動かしたのは約3ポイント(-52.1%→-55.1%)で、翌15日に1ポイント戻しています。
2社とも、9月14日より前から下げ始めていました。
2. 100株買うのに、いくら要るか
| 単元株数 | 9月15日終値 | 100株で必要な金額 | |
|---|---|---|---|
| キオクシア | 100株 | 51,750円 | 517万5,000円 |
| フジクラ | 100株 | 4,744円 | 47万4,400円 |
入口の金額が10倍以上ちがいます(5,175,000 ÷ 474,400 = 10.91倍)。
同じ「AI関連株を買う」でも、片方は車1台ぶん、片方は数十万円です。
※まとめて買うなら100株単位ですが、単元未満株(ミニ株・S株)を使えば1株から買えます。
なぜ100株単位なのか
東証の上場規程で、売買単位は100株以外にできません(有価証券上場規程第427条の2)。
JPXは「投資単位を引き下げるための方策としては、株式分割を実施することが考えられます」と説明しています。
つまり、会社が値段を下げたいなら株式を分割するしかありません。
キオクシアは10月1日に1株→3株に分けます
2026年7月31日の開示です。
- 1株→3株の株式分割。基準日9月30日、効力発生日10月1日
- 権利付最終売買日は9月28日(月)
- 同時に自己株式の取得(上限8,000億円・3,000万株=発行済の5.5%、8月3日〜10月30日)
9月15日の終値を機械的に3で割ると17,250円で、100株なら172万5,000円です。
※これは理論値です。実際の株価は市場が決めます。
そして会社自身が、この開示の中でこう書いています。
東京証券取引所が求めている望ましい投資単位(50万円未満)の水準への移行に関しましては…引き続き検討してまいります
3分の1にしても、東証が望ましいとする50万円にはまだ3倍以上の開きがあるということです。
フジクラは今年4月に1株→6株に分けました
2026年4月1日、上場以来初めての分割です。
分割直前の3月31日の実際の株価は24,540円で、100株なら245万4,000円でした。
今は47万4,400円です。
3. キオクシアの数字(利益はすさまじく増えています)
四半期の営業利益(百万円)
| 四半期 | 売上収益 | 営業利益 |
|---|---|---|
| 2026年3月期 1Q(25年4-6月) | 342,799 | 44,899 |
| 2027年3月期 1Q(26年4-6月・実績) | 1,767,117 | 1,270,017 |
| 2027年3月期 2Q(会社予想) | 2,390,000 | 1,890,000 |
- 前の年の同じ3か月と比べて 28倍(1,270,017 ÷ 44,899 = 28.28)
- 上半期だけで、前の期の1年ぶんの 3.6倍 を稼ぐ計画((1,270,017+1,890,000) ÷ 869,013 = 3.63)
- 1Qの営業利益率は 71.9%(1,270,017 ÷ 1,767,117)
※「1兆2700億円」は本業の利益(営業利益)です。税金などを引いたあとに残る利益は8,422億円。この2つを取り違えて書いている記事があるので注意してください。
※同じ決算短信に「Non-GAAP営業利益 1兆3262億円」も併記されています。どちらも営業利益ですが集計の基準が違います(Non-GAAPのほうは監査を受けていないと短信に明記)。
通期の営業利益(百万円)
| 決算期 | 営業利益 |
|---|---|
| 2023年3月期 | −99,015 |
| 2024年3月期 | −252,698 |
| 2025年3月期 | +442,170 |
| 2026年3月期 | +869,013 |
3年前と2年前は赤字でした。 そこから2年で、四半期だけで1兆円を超える会社になっています。
⚠ 会社は今期の通期予想を出していません。 四半期ごとの見通しだけです。証券情報サイトの「PER(会社予想)」が空欄なのはこのためです。
4. それでも、なぜキオクシアを先に買わないのか
理由1: 社長が「値上げはもう十分」と言いました
2026年9月8日のインタビュー(9月9日公開)です。
- 「メモリ価格はすでに十分に高騰した」
- 営業部隊に、データセンター事業者へのこれ以上の値上げ要請を止めるよう指示した
- 「前四半期比でさらに70%の値上げは起こりそうにない」
- 理由は「過度な値上げは長期のAI投資意欲を損ね、最終的に自社の市場成長と競争力を害する」
利益を増やしてきた張本人が、自分でブレーキを踏んでいます。
理由2: メモリの値上がり方は、すでに止まりかけています
契約価格の上昇率(前の3か月と比べて)です。
| 四半期 | DRAM | NAND |
|---|---|---|
| 2026年1-3月 | +90〜95% | +55〜60% |
| 2026年4-6月 | +58〜63% | +70〜75% |
| 2026年7-9月 | +13〜18% | +10〜15% |
| 2026年10-12月(予想) | PC DRAM +3〜8% | +8〜13% |
まだ上がってはいます。ですが上がり方は7割から1割に落ちています。
値上がりが止まれば、利益の増え方も止まります。
理由3: 作る量を増やす会社がいます
SKハイニックスが2026年7月2日、韓国・清州に総額100兆ウォンの投資を発表しました。
うちNAND工場に80兆ウォン(約8兆7,000億円)です。
値段が上がっている → 各社が増産する → 供給が増える。メモリはこれを何度も繰り返してきた業界です。
理由4: 会社が通期の見通しを出せていません
これが一番はっきりした事実です。
自分の会社の1年の利益を、会社自身が読めていません。
参考: アメリカ上場の報道について
2026年9月14日(引け後)に、ADR(米国預託証券)で1兆5,000億円規模を調達する検討が報じられました。
ただし会社は9月15日に「一部報道について」を出し、次のとおり述べています。
当社が発表したものではありません/本上場の予定時期、市場、方法等については未定/検討結果によっては、本上場をしない可能性があります
米国上場の準備を進めていること自体は事実です(2026年5月15日の開示)。
ですが発行株数の開示がないので、1株あたりの価値がどれだけ薄まるかは計算できません。
この資料では材料として数えません。
5. フジクラの数字(今年2度、会社が自分で上に直しました)
2027年3月期 会社予想(2026年8月7日に今期2度目の上方修正)
| 項目 | 金額 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆7,550億円 | +48.4% |
| 営業利益 | 4,320億円 | 前期1,887億円の2.3倍 |
| 最終利益 | 3,260億円 |
2027年3月期1Q(26年4-6月・実績)
| 項目 | 金額 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4,020億円 | +50.1% |
| 営業利益 | 1,048億円 | +155.1%(2.5倍) |
| 最終利益 | 804億円 | +156.8% |
上げた理由は、会社が書いています
- 光コネクター・サーバーラック等の光コンポーネント製品の販売好調
- 6月18日の1回目の修正では「当初計画で想定していなかったハイパースケーラーからの光コンポーネント製品プロジェクト受注」
ハイパースケーラーは、AI用の巨大データセンターを持つ会社のことです。
計画に入れていなかった注文が来た、と会社が説明しています。
9月に入ってからの材料
- 9月9日: 米コーニングがベライゾンと光ファイバーの長期供給契約(2027〜2032年に8,000万マイル超)を発表 → コーニング株が7%超上昇 → 日本の電線株に連想買いが入り、フジクラは+8.07%
- 9月11日: 「JPXプライム150指数」の構成銘柄に初選定
- 9月14日: AI関連株の一斉安で大幅続落(-2.97%)
9月9日の5,493円から9月15日の4,744円まで、4営業日で-13.6%です。
配当
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 予想配当 | 年38円(中間19円・期末19円) |
| 予想配当利回り | 0.79% |
| 中間配当の基準日 | 2026年9月30日(権利付最終売買日9月28日) |
キオクシアは無配です。 待っている間にもらえるものがあるかどうかも違います。
6. 「4,386円」という数字の出し方
動画で「半分だけ今の株価から買い、残りは4,386円まで下がったら入れる」と言いました。その算数です。
まず、電線3社を並べます
| 会社 | 株価は利益の何年分か(予想PER) | 今期の営業利益の伸び |
|---|---|---|
| フジクラ | 24.65倍 | 2.3倍(1,887億円→4,320億円) |
| 古河電工 | 22.28倍 | およそ1.9倍(今期予想1,230億円 ← 前期638.56億円) |
| 住友電工 | 16.86倍 | 1.08倍(今期予想4,500億円 ← 前期4,181.73億円) |
伸びの順番(2.3 > 1.9 > 1.08)と、利益の何年分かの順番(24.65 > 22.28 > 16.86)が一致しています。
つまりフジクラの「24年分」は、同業から浮いた数字ではありません。
※これは順番が一致しているという話で、比例しているわけではありません。住友電工の伸びはフジクラの半分以下ですが、年数は7割あります。言えるのは「同業から浮いていない」までです。
4,386円の計算
フジクラの1株あたり利益(会社予想)は196.88円です。
196.88円 × 22.28倍(古河電工と同じ位置) = 4,386円
9月15日の終値4,744円から-7.5%です。
同じAIで伸びている古河電工と同じ高さまで下がったら、そこで残りを入れる、という線です。
なぜ住友電工に合わせないのか
住友電工の位置(16.86倍)まで下げると3,319円(-30.0%)になります。
ですが住友電工は自動車向けが主体で、今期の営業利益の伸びが1.08倍。しかも最終利益は前の期より8パーセント減る予想です。
AIで利益が2.3倍になる会社と並べる相手としては、ずれています。
参考: フジクラは値動きが荒い株です
- 2026年7月22日 4,751円 → 7月30日 3,720円(6営業日で-21.7%)
- 2026年7月30日 3,720円 → 8月5日 5,073円(4営業日で+36.4%)
- 2026年9月9日 5,493円 → 9月15日 4,744円(4営業日で-13.6%)
-7.5%は、この株にとっては1週間で届く範囲です。 一度に全部買わない理由がここにあります。
7. 何が出たら、やめるか
買う理由と同じくらい、やめる合図を先に決めておくことが大事です。
フジクラ
今期の利益の見込みを下げたら、そこで買うのをやめます。
今年2回引き上げた会社が下げるということは、光コンポーネントの受注が計画どおりに来ていないという意味になります。
2.3倍という前提が崩れれば、24年分という株価の位置も崩れます。
キオクシア
メモリの価格が下げ止まって、会社が通期の見込みを出すまで待ちます。
利益の4年分という数字だけを見れば格安です。
ですがその4年分の元になる利益を、会社自身が1年ぶんで出せていません。
出せるようになった時が、はじめて数字で判断できる時です。
すでに高いところで持っている人へ
- 慌てて損を確定させる必要はありません
- ただし「AIだからいつか戻る」は判断ではありません
- 見るのは2つです。メモリの価格の上昇率(止まったか)と、会社が通期の見込みを出すか
8. この資料のまとめ
| キオクシア(285A) | フジクラ(5803) | |
|---|---|---|
| 9月15日終値 | 51,750円 | 4,744円 |
| 100株で必要な金額 | 517万5,000円 | 47万4,400円 |
| 今年の安値からの上昇 | 10.3倍 | 2.9倍 |
| 今年の高値からの下落 | -54.1% | -40.2% |
| 今期の利益 | 1Qだけで前年同期の28倍 | 通期で前期の2.3倍 |
| 通期の会社予想 | 出していない | 4,320億円(今年2回上方修正) |
| 株価は利益の何年分か | 3.97倍 | 24.65倍 |
| 配当利回り | 無配 | 0.79% |
| 俺たちの判断 | 待つ(通期予想が出るまで) | 先に買う(4,744円から半分) |
| 残りを入れる株価 | — | 4,386円(-7.5%) |
| やめる合図 | — | 今期の利益の見込みを下げたら |
| 次に確かめる日 | 10月1日(分割の効力発生)/次の四半期決算 | 次の四半期決算 |
数字の出どころ
すべて各社が公表している資料と、公的機関・調査会社の公表値です。
- キオクシアの四半期業績(営業利益1,270,017百万円・44,899百万円・1,890,000百万円) … キオクシア 2027年3月期 第1四半期決算短信/Stockanalysis 四半期表
- キオクシアの通期業績(2023年3月期〜2026年3月期) … キオクシア 各期 決算短信
- 株式分割(1株→3株・基準日9月30日・効力発生日10月1日)と自己株式取得(上限8,000億円・3,000万株) … キオクシア 2026年7月31日 適時開示
- 「望ましい投資単位(50万円未満)」の一文 … 同開示 原文
- 社長の発言(メモリ価格はすでに十分に高騰した/値上げ要請の停止を指示) … 2026年9月8日インタビュー(9月9日公開)
- ADR上場報道と会社の否定 … Bloomberg 2026年9月14日/キオクシア 2026年9月15日「一部報道について」
- メモリ契約価格の上昇率 … TrendForce
- SKハイニックスの投資(100兆ウォン・うちNAND 80兆ウォン) … SKハイニックス 2026年7月2日発表
- フジクラの業績予想(売上1兆7,550億円・営業利益4,320億円)と上方修正 … フジクラ 2026年8月7日 業績予想の修正に関するお知らせ/2026年6月18日 同
- フジクラ1Q(営業利益1,048億円・+155.1%) … フジクラ 2027年3月期 第1四半期決算短信
- フジクラの配当38円・利回り0.79%・EPS196.88円 … フジクラ 会社予想(Yahoo!ファイナンス・日経・IFIS一致)
- JPXプライム150指数への選定 … フジクラ 2026年9月11日 リリース
- コーニングとベライゾンの契約・電線株の連想買い … 日経 2026年9月9日
- 売買単位100株の根拠 … 有価証券上場規程第427条の2/JPX「売買単位の統一に関するQ&A」A5
- 予想PER(キオクシア3.97倍・フジクラ24.65倍・古河電工22.28倍・住友電工16.86倍) … Stockanalysis/S&P Global コンセンサス 2026年9月15〜16日
- 古河電工の営業利益(今期予想1,230億円・前期638.56億円) … 古河電気工業 2027年3月期 第1四半期決算短信(2026年8月6日)/2026年3月期 決算短信(2026年5月12日)
- 住友電工の営業利益(今期予想4,500億円・前期4,181.73億円・最終利益は対前期△8.0%) … 住友電気工業 2027年3月期 第1四半期決算短信(2026年7月31日)/2026年3月期 決算短信(2026年5月12日)
- 9月14日の市場(SOX・日経平均・各社の株価) … 日経 2026年9月14日/Fisco 同日/Yahoo!ファイナンス日足(株探と2ソース照合)
- 6銘柄の年初来の安値・高値・終値 … Yahoo!ファイナンス日足(株探と2ソース照合)
- Anthropic CEOのエッセイと同調の報道 … Bloomberg 2026年9月12日/TechCrunch 同日/Axios 同日
本資料は投資教育・情報提供が目的で、特定銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。
個別企業への言及は、各社の公式発表など公開情報にもとづく解説です。
数字は2026年9月15日終値時点のもので、正確性や将来の結果を保証しません。
投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。