特典 17 / 動画連動
任天堂株 解説資料
11月5日の決算で、どの数字を見ればいいか
2026年9月24日の終値8,196円を基準にしています(9月21日〜23日は休場)。
この資料の数字は、会社が出した資料と株価のデータから取っています。「計算値」と書いたものは、それらの数字をもとに私たちが計算した値です。出どころは最後にまとめてあります。
1. いま何が起きているか(3行)
- 9月24日の終値は8,196円。最高値(2025年8月18日の終値14,655円)から44%下がっています(計算値:8,196÷14,655−1=−44.1%)。
- 1年分の配当は、去年度の219円から、今年度は162円に減る予想です(会社予想)。
- 次の決算発表は2026年11月5日(予定)です。ここで、今年度の利益の予想が動くかどうかが分かります。
2. 100株で見たときの数字
1株1万円で100株買った場合です(すべて税引前・税金は考えていません)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 1万円で100株買った金額 | 100万円 |
| 9月24日の終値で100株 | 81万9,600円 |
| 差(損) | 18万400円(1株あたり1,804円) |
| 1年分の配当(今年度の予想162円) | 1万6,200円 |
| 去年度(219円)と比べて | 1年で5,700円減 |
| 162円が毎年続いても、1株1,804円を埋めるのに | 11年以上(1,804÷162=11.1年) |
| 今の株価で見た配当利回り | 1.98%(162÷8,196) |
- 配当で損を取り戻す持ち方は、私たちはしません。162円は「決まった額」ではなく、次の3で見るとおり利益で毎年動くからです。
3. 任天堂の配当の決まり(2026年3月期の期末から)
決算短信の原文
具体的な配当の算出については、連結営業利益の40%を配当金総額の基準とし、期末時点で保有する自己株式数を差し引いた発行済株式数で除した金額の1円未満を切り上げた金額か、もしくは連結配当性向60%を基準として1円未満を切り上げた金額の、いずれか高い方を、1株当たり年間配当金として決定します。
中間配当金については、中間期の連結営業利益の40%を中間期末の配当金総額の基準とし、その時点で保有する自己株式数を差し引いた発行済株式数で除した金額の1円未満を切り上げた金額を1株当たり配当金額とします。
2027年3月期の期末配当金については、年間配当金から中間配当金を差し引いた金額となります。
ひとことで言うと
| 分 | 決まり |
|---|---|
| 1年分 | 本業の利益(営業利益)の40%を株数で割った額か、最後に残る利益(純利益)の60%(=1株あたりの利益×60%)の、高いほう |
| 中間配当(9月末の分) | 4〜9月の本業の利益の40%を株数で割った額 |
| 3月末の分 | 1年分 − 中間配当 |
- この決まりは2026年3月期の期末配当から使われています。それまでは「本業の利益の33%か、純利益の50%の高いほう」でした。中間配当を40%で計算するのは、今年度(2027年3月期)が初めてです。
- 1年分は、1年が終わってから実際の利益で決まります。162円は、会社の言葉では「現時点で予想している業績となった場合」の額です。
去年度(2026年3月期)の実例
表は横にスクロールできます
| 分 | 額 | 中身 |
|---|---|---|
| 中間配当 | 42円 | 当時の決まり(4〜9月の本業の利益の33%)で計算(計算値:1,452億円×33%÷株数=41.15円→切り上げ42円) |
| 3月末の分 | 177円 | 1年分219円 − 中間42円 |
| 1年分 | 219円 | 1株あたりの利益364.51円×60%=218.7円→切り上げ219円(本業の利益40%の計算は125円なので、高いほうの219円) |
- 去年度の1年分の配当予想は、11月の時点で181円でした。終わってみたら219円で決まりました。
今年度(2027年3月期)の予想162円の中身
- 1株あたりの利益の予想268.90円×60%=161.34円→切り上げ162円(計算値)
- 本業の利益の予想3,700億円の40%で計算すると129円(計算値)。高いほうの162円が採られています。
- 162円のもとになっている「最後に残る利益」の予想は3,100億円です。この3,100億円が動けば、162円も動きます。
4. 11月5日に見る数字
| 順番 | 見る数字 | 今の値 | どう見るか |
|---|---|---|---|
| ① | 最後に残る利益(純利益)の1年分の予想 | 3,100億円(5月8日に発表、8月6日の決算でも変更なし) | 据え置きか、上がるか。上がったら、いくらになったかを5の表に当てはめる |
| ② | 予想を変えた理由 | — | 関税の払い戻しのような一度きりのものか。一度きりなら、その分は買う株価に足さない |
| ③ | 4〜9月の本業の利益(営業利益) | 4〜6月だけで1,425億円 | 中間配当の元になる数字。6の表に当てはめる |
①②を見るときに知っておくこと
- 4〜6月の本業の利益1,425億円は、1年分の予想3,700億円の38.5%(計算値)。1年の4分の1の期間で、4割近くが出ています。
- ただしこの4〜6月には、アメリカの関税の払い戻し約3億ドルが一度に入っています。会社は決算説明資料で、この払い戻しに伴って約3億ドルを売上原価から差し引いたと書いています(円の額は出していません)。
- それでも任天堂は、8月の決算で1年分の予想を変えませんでした。据え置いた理由は、会社の資料に書かれていません。
- 本業の利益の予想3,700億円は、メモリーを中心とする部材の値上がりや関税の支払いなどによる原価への影響として、約1,000億円を織り込んだ数字です(会社の決算説明資料)。
- 中間配当の額は、去年は決算発表と同じ日(2025年11月4日)に発表されました。
5. 予想ごとの「私たちが買う株価」
基準にしたのは5月11日の7,020円
- 最後に残る利益の予想3,100億円は、2026年5月8日の取引終了後に発表されました。
- 次の取引日、5月11日の終値は7,020円(前の日から8.44%下落)。同じ予想に対して市場が付けた株価です。
- 予想は8月6日の決算でも変わっておらず、今も同じ3,100億円です。それでも9月24日の株価は8,196円で、5月11日より1,176円高くなっています。
そこで、予想が上がった割合だけ、買う株価も上げることにしています。
- 買う株価=7,020円×(11月5日の予想÷3,100億円)。1円未満は四捨五入
- 1年分の配当=1株あたりの利益の予想268.90円×(11月5日の予想÷3,100億円)×60%。1円未満は切り上げ
早見表
| 11月5日の、最後に残る利益の1年分の予想 | 私たちが買う株価(計算値) | 9月24日の8,196円との差 | その予想での1年分の配当(計算値) | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 3,100億円(今の予想のまま) | 7,020円 | ▲1,176円 | 162円 | 今の会社予想。7,020円より上は見送る |
| 3,300億円(+6.5%) | 7,473円 | ▲723円 | 172円 | |
| 3,500億円(+12.9%) | 7,926円 | ▲270円 | 183円 | 去年度の、11月に引き上げた後の予想と同じ額 |
| 約3,620億円(+16.8%) | 8,198円 | +2円 | 189円 | 去年11月と同じ割合の引き上げ。今の株価とほぼ同じ |
| 3,780億円(+21.9%) | 8,560円 | +364円 | 197円 | 今の株価と予想の比のままなら1万円になる予想(7を参照) |
| 4,000億円(+29.0%) | 9,058円 | +862円 | 209円 | |
| 4,240億円(+36.8%) | 9,602円 | +1,406円 | 221円 | 去年度の実績と同じ額 |
表の注記
- 上がった理由が、関税の払い戻しなど一度きりのものなら、買う株価は上げません。 一度きりの利益は、次の年には入らないからです。
- 今の8,196円は、約3,620億円の行(8,198円)とほぼ同じです。 去年11月、会社は最後に残る利益の予想を3,000億円から3,500億円へ引き上げました(+16.67%)。今の株価は5月11日の7,020円より16.75%高く、この引き上げ幅とほぼ同じです。計算の上では、今の株価は、去年並みに予想が上がる前提の株価です(去年とまったく同じ割合なら、予想は約3,617億円、買う株価は8,190円)。
- この計算は、5月11日のPER(会社予想)26.11倍(Yahoo!ファイナンスの当日の表示)を、11月5日の予想に当てはめるのと同じ考え方です。9月24日のPERは30.48倍です。
- 配当の列は、株数が今と変わらないとした近似です。本業の利益の40%で計算した額(今の予想3,700億円で129円)より高いので、1株あたりの利益の60%の額を載せています。本業の利益の予想も大きく変わった場合は、この限りではありません。
- 4,240億円の行の配当は221円で、去年度の実績(同じ4,240億円で219円)より2円多くなっています。今年度の予想は、去年度より少ない株数で1株あたりの利益を出しているためです(計算値:去年度 約11億6,300万株/今年度の予想 約11億5,300万株)。
私たちの見立て
- まだ持っていない人:11月5日に3,100億円の予想が変わらなければ、私たちが買うのは7,020円からです。7,020円より上は見送ります。予想が約3,620億円まで上がれば、今の8,196円でも買います。ただし上がった理由が関税の払い戻しなど一度きりのものなら、買う株価は上げません。
- 持っている人:11月5日に、予想が約3,620億円に届けば持ち続けます。届かなければ、私たちなら売ります。 1万円で買った人の場合、残るのは、損を埋めるのに11年以上かかる配当だけだからです(2を参照)。
※ これは私たちの見立てで、売買をおすすめするものではありません。
6. 中間配当の早見表(7〜9月の本業の利益ごと)
中間配当=(4〜6月の1,425億円+7〜9月の本業の利益)×40%÷1,152,828,616株。1円未満は切り上げ(計算値)。
| 7〜9月の本業の利益 | 4〜9月の本業の利益 | 中間配当(計算値) | 100株なら | 1年分が162円のままなら、3月末の分(計算値) |
|---|---|---|---|---|
| 0円 | 1,425億円 | 50円 | 5,000円 | 112円 |
| 300億円 | 1,725億円 | 60円 | 6,000円 | 102円 |
| 600億円 | 2,025億円 | 71円 | 7,100円 | 91円 |
| 900億円 | 2,325億円 | 81円 | 8,100円 | 81円 |
| 1,200億円 | 2,625億円 | 92円 | 9,200円 | 70円 |
- 株数は6月30日時点の、自己株式を除いた株数です。9月30日時点の株数はまだ公表されていないので、近似です。4〜6月の本業の利益は142,596百万円で計算しています。
- 7〜9月が赤字なら、中間配当は50円より少なくなります。
- 7〜9月が0円でも、中間配当は去年の42円より増える計算です。このときの増える分は、ほぼ全部が「配る割合」を33%から40%に上げた分です(同じ1,425億円を33%で計算すると41円・計算値)。
- 参考:去年の7〜9月の本業の利益は883億円でした(計算値:4〜9月1,452億円−4〜6月569億円)。
- 中間配当が増えても、1年分が162円のままなら、増えた分だけ3月末の分が減ります。1年でもらえる合計は変わりません。1年分が増えるかどうかは、最後に残る利益の実績で決まります(3を参照)。
- 中間配当の基準日は2026年9月30日、支払いは12月上旬からです(会社の配当金ページ)。
7. 1万円に戻るのに要る利益
| 見るもの | 値 |
|---|---|
| 1万円は、9月24日の8,196円より | 22.0%高い(計算値) |
| 株価と予想の比が今のままなら、1万円に要る「最後に残る利益の予想」 | 約3,780億円(計算値:3,100億円×10,000÷8,196=3,782億円) |
| 今の予想3,100億円との差 | 約680億円多い |
- 5月11日の比で見るなら、3,780億円でも買う株価は8,560円です(5の表)。
- 去年度は、最初の予想が3,000億円(2025年5月8日)、11月に3,500億円へ引き上げ、終わってみたら実績は4,240億円でした。
- ただし今年度は、会社自身が3,100億円と予想しています。去年度に予想を上回ったからといって、今年度も上回るとは限りません。
8. 配当の歴史(1株を10株に分けた後の額に直しています)
任天堂は2022年10月1日に、1株を10株に分けました。下の表は、それより前の年も10で割って、今の1株あたりに直した額です。
| 年度 | 1年分の配当 | 前の年と比べて |
|---|---|---|
| 2008年3月期 | 126円 | 増配 |
| 2009年3月期 | 144円 | 増配 |
| 2010年3月期 | 93円 | 減配 |
| 2011年3月期 | 45円 | 減配 |
| 2012年3月期 | 10円 | 減配(決まりどおりなら0円) |
| 2013年3月期 | 10円 | 横ばい(決まりどおりなら3円) |
| 2014年3月期 | 10円 | 横ばい(決まりどおりなら0円) |
| 2015年3月期 | 18円 | 増配 |
| 2016年3月期 | 15円 | 減配 |
| 2017年3月期 | 43円 | 増配 |
| 2018年3月期 | 59円 | 増配 |
| 2019年3月期 | 81円 | 増配 |
| 2020年3月期 | 109円 | 増配 |
| 2021年3月期 | 222円 | 増配(この表の範囲で最多) |
| 2022年3月期 | 203円 | 減配 |
| 2023年3月期 | 186円 | 減配(中間は分割前630円=63円、期末は分割後123円の合計・計算値) |
| 2024年3月期 | 211円 | 増配 |
| 2025年3月期 | 120円 | 減配 |
| 2026年3月期 | 219円 | 増配(この表の範囲で2番目) |
| 2027年3月期(予想) | 162円 | 減配予想 |
- 2008年3月期から2026年3月期までの19年で、前の年より減配したのは7回です(計算値)。
- 最近でも、211円→120円→219円→162円(予想)と、1年ごとに大きく動いています。
年10円だった3年間
2012年3月期から2014年3月期まで、任天堂の本業の利益は3年続けて赤字でした(373億円・364億円・464億円の赤字)。当時の決まりどおりに計算すると、配当が0円になる年が2回ありました。それでも任天堂は、3年とも1株100円(分割後に直すと10円)を払っています。各年の決算短信の原文です。
- 2012年3月期:「当期の配当は、上記方針によりますと、1株当たりの年間配当金は無配となりますが、翌期に向けての業績回復を勘案し、1株当たり年間100円(中間無配、期末100円)としました。」
- 2013年3月期:「当期の配当は、上記方針によりますと、1株当たりの年間配当金は30円となりますが、当期は利益水準にかかわらず年間100円を下限にしていましたので、1株当たりの年間配当金は100円(中間無配、期末100円)とします。」
- 2014年3月期:「当期の配当は、上記方針によりますと、1株当たりの年間配当金は無配となりますが、ここ2年の1株当たりの配当金実績を踏まえ、1株当たりの年間配当金は100円(中間無配、期末100円)とします。」
つまり年10円は、決まりとは別に、当時の任天堂が上乗せして払った額です。今の決まりには、最低いくらという額は書かれていません。
数字の出どころ
- 株価:Yahoo!ファイナンス、株探(日足。2ソースで一致を確認)
- PER・配当利回り:Yahoo!ファイナンス・株探の表示(2026年9月24日)、Yahoo!ファイナンスの表示の保存版(2026年5月11日)
- 決算の数字:任天堂「2026年3月期 決算短信」(2026年5月8日)、「2027年3月期 第1四半期決算短信」(2026年8月6日)、同 決算説明資料
- 配当の決まり:任天堂「2026年3月期 決算短信」の「利益配分に関する基本方針」、「剰余金の配当(中間配当)、配当方針の変更および期末配当予想の修正に関するお知らせ」(2025年11月4日)、任天堂IR「配当金」ページ
- 去年の中間期・予想の引き上げ:任天堂「2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信」「通期業績予想の修正に関するお知らせ」(いずれも2025年11月4日)
- 関税の払い戻し:任天堂「2027年3月期第1四半期 決算説明資料」(2026年8月6日)
- 配当の歴史:任天堂 各年度の決算短信(2008年〜2026年公表)、「株式分割ならびに株式分割に伴う定款の一部変更および配当方針の変更に関するお知らせ」(2022年5月10日)
- 2012〜2014年3月期の本業の利益:任天堂IR「ヒストリカルデータ 連結損益計算書推移」
- 次の決算発表日・中間配当の基準日:任天堂IR「IRカレンダー」(予定は変更になる場合があります)
本資料は投資教育・情報提供が目的で、特定銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。
個別企業への言及は、各社の公式発表など公開情報にもとづく解説です。
数字は2026年9月24日終値時点のもので、正確性や将来の結果を保証しません。
投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。